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おとぎ話や童話の解読本
驚きの新発見や裏側

 シンデレラ、シンドバッドに孫悟空……子どものころ、誰もが夢中になったおとぎ話の誕生の秘密や隠された意味を読み解く本が相次ぎお目見えしている。メルヘンの舞台裏をのぞいてみると――。(佐藤憲一)

 西洋の童話の代表格といえば、19世紀、ドイツのグリム兄弟が民間伝承をもとにまとめたグリム童話。高橋義人『グリム童話の世界』(岩波新書)は、ヨーロッパ人が意識の深層で持ち続けていたキリスト教化以前の古代ゲルマン的信仰を、この童話集がくみ上げようとしていたことを示す。

 木の小枝や小鳥から助けられるグリム版シンデレラには、「自然は魔力を持ち、人間を助けてくれる」という自然信仰のメッセージが込められているという。彼女が「醜から美」へと移り変わるのも、冬を追い払い夏を招き寄せる祭りに対応している。

 面白いのは、「シンデレラ」や「ホレおばさん」という童話を通し解説される著者の仮説。ゲルマン神話の最高神や女神が、サンタクロースの従者に姿を変え現在のヨーロッパの祭りに残っているという。グリム童話が日本人に愛されるのも、自然への親近感という共通の感情に支えられているのかもしれない。

 解読書ではないが、諸星大二郎のマンガ『トゥルーデおばさん』(朝日ソノラマ)、『スノウホワイト』(東京創元社)もグリム童話を恐怖と諧謔(かいぎゃく)の物語に作り替え、個性的だ。

 一方、西尾哲夫『アラビアンナイト』(岩波新書)は、18世紀フランスのガランが翻訳紹介したこのアラブ世界の物語集「千一夜」が、ヨーロッパに広がり、世界文学として変身していく過程を追った。

 著名な「シンドバッド航海記」がアラビアンナイトの一部というのはガランの誤解で、実は別の物語だったらしいとの指摘は驚き。また、千一夜物語といっても、ガランが翻訳に使用した写本には282夜分しかなく、千一夜分あるはずというのは歴代編集者たちの思いこみ。その結果、〈無節操ともいえる大増量作戦〉が行われたという。水増しあり写本の捏造(ねつぞう)ありの混沌(こんとん)とした成立の経緯を知ることで、「アラジンと魔法のランプ」などの物語が一層神秘的に見えてくる。

 桑原武夫学芸賞に決まった井波律子『トリックスター群像』(筑摩書房)は、中国5大古典小説の中で、道化者やペテン師として物語をかく乱する「トリックスター」がどのような役割を果たしているかを解読する。「三国志演義」「西遊記」「水滸伝」は庶民が親しんだ講談をもとに、元末から明代にまとめられたものだけに、天界を暴れ回る「西遊記」の孫悟空や、「水滸伝」の超乱暴者、李逵(りき)の活躍に、民衆が官へのうっぷん晴らしを重ねていたこともうかがえる。長大な物語の中では、曹操から諸葛孔明へ、孫悟空から猪八戒へとトリックスターの交代も見られるという。

 また、蓮実香佑『おとぎ話の生物学』(PHP研究所)は、日本昔話やイソップ童話を素材に、生物の雑学をちりばめたエッセー集だ。新たな発見の多い解読本片手に、思い出深いおとぎ話をもう一度読み直してみてはいかが。

(2007年5月16日  読売新聞)

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